歯が動く仕組み
矯正治療をより安心してお受けいただくために、歯の動く仕組みについてご説明いたします。
そもそも歯が動くなんて信じれないという思う方が多いかもしれません。
たしかに、歯はそう簡単には動きませんが、一定の力をかけ続けることで、徐々にですが、移動していきます。
大事な歯根膜(しこんまく)の働き
歯は歯茎の骨(歯槽骨といいます)に直接くっついているのではありません。
歯と歯槽骨(しそうこつ)の間には歯根膜(しこんまく)という繊維があります。
この歯根膜によって、歯は歯槽骨に結わえ付けられているのです。
普段は食事の際の衝撃をやわらげるクッションの働きをしているのですが、矯正治療のときにも、この歯根膜が大きな働きをします。
そもそもこの歯根膜があるから歯を動かすことができるのです。
この歯根膜は0.15~0.38mmという厚さ1mmにも満たない薄い膜ですが、この歯根膜は常に一定の厚さを保とうとする性質があります。
矯正治療はこの歯根膜の厚さを保とうとする性質を利用して歯を動かしていきます。
歯に外から圧力が加わり続けると、力が加えられている側の歯根膜は圧迫されて厚さが縮まり、逆側では引っ張られて伸びます。圧迫された側の歯根膜には骨を溶かす細胞が出現し、そこにスペースをつくります。
歯はできたスペースに徐々に移動していき、歯が移動した後には徐々に新しい骨がつくられていって、すき間を埋めていきます。
こうして、歯は歯槽骨の中で少しずつ動いていきます。そのスピードは、1mm動かすのに約一ヶ月ほどかかります。
事故などで歯根膜がつぶれ、歯が歯槽骨に癒着してしまった場合は、矯正治療をすることは難しくなります。
矯正治療において、歯根膜がいかに重要な働きをしているかがおわかりいただけたでしょうか。