矯正治療の種類
矯正治療をより安心してお受けいただくために、さまざまな矯正治療の方法についてご紹介します。
表側矯正 -歯の表側に装置をつける方法-
矯正治療は大きく分けると、歯の表側に装置をつける方法と舌側(歯の裏側)につける方法があります。
表側矯正はもっともオーソドックスな方法です。
目立ってしまうことが最大の難点ですが、今はセラミック製やプラスチック製など目立たない装置もでてきています。
舌側矯正 -歯の裏側に装置をつける方法-
舌側(歯の裏側)に装置をつける方法は、装置が見えないことが大きなメリットです。
接客業など、これまでどうしても矯正装置をつけることができなかったという方で、舌側からの治療を希望する人も増えています。
ただし、装置の厚みの分だけ舌を置くスペースが狭くなるので、慣れるのに時間がかかります。
セルフライゲーション型マルチブラケット装置(デーモンシステム) -摩擦抵抗を少なくし、歯の痛みを抑える方法-
ワイヤーからのエネルギーロスをなくし、接触部分との摩擦抵抗を極力少なくするように改良されたのがセルフライゲーション型マルチブラケット装置(デーモンシステム)という装置です。アメリカではスピードブラケットと呼ばれています。
摩擦が少ないことにより、より小さな力で歯を動かすことが可能となり、歯の痛みが少なく、移動のスピードや歯列の拡大が容易であるという特徴があります。
歯科矯正用アンカースクリューを用いた矯正歯科治療 -非抜歯矯正の可能性を拡げる矯正用インプラントを用いる方法-
従来の方法では、前歯を移動させようとした時に、奥歯を碇にして移動させていましたが、この場合、奥歯も前に移動してしまう結果となっていました。
そこで、奥歯の代わりに、骨に引っ張る碇の役割をさせてしまおうというのが歯科矯正用アンカースクリューを用いた矯正歯科治療です。
装置の種類は虫ピンのような小さなものから、やや大きなプレートタイプまで様々です。
この方法を用いることにより、従来限界と考えられていた移動距離や移動方向が見直され、非抜歯による治療の可能性が飛躍的に高まりました。
外科矯正 -手術を伴う方法-
歯の移動だけでは十分な咬み合せが獲得されない場合は、顔貌の改善を要望される場合には手術を行い、歯を骨ごと移動します。
手術は全身麻酔で行い、2~3週間程度の入院が必要となります。
外科矯正は、厚生労働大臣が認める施設基準に適合しているものとして地方社会保険事務局に届け出たクリニック(顎口腔機能診断施設)で行われた場合、保険が適用となります。当クリニックも指定を受けております。
歯の移動スピードを速める方法
体の修復作用を利用して骨の変化するスピードを早くし、結果的に歯の移動スピードを速めようとする方法があります。
スピードという結果を求めるためのオプションですので、体にメスを入れるということを念頭においてお考えください。ただ、早く終わるということは重要なことですので、価値ある選択肢の一つです。
マウスピース型カスタムメイド矯正装置 -歯型のマウスピースを装着する方法-
患者さまの歯の状態に合わせた透明なカバーを作成し、歯の移動段階に合わせたカバーを装着することで歯を動かしていくのがマウスピース型カスタムメイド矯正装置です。
この方法では装置をはめていないと歯は動きませんので、患者さまの自覚と忍耐が必要になります。
あまり大きな移動距離を必要とするケースには向いていない方法ですが、カバーが取り外し可能なことや、透明で目立ちにくいことから、患者さまの負担が少なくできる矯正方法と言えます。
目的に合わせた方法を選ぶ
矯正方法の種類はたくさんあり、今後も増えていくものと思われます。
矯正治療は結果として歯が移動することが目的であり、この装置、この方法でなければいけないということはありません。
我々矯正医が患者さまの目的に合わせて何が一番有用なのかをご提案し、患者さま自らが選択できることが重要だと考えています。