高齢者の矯正
昔のようにきれいな歯並びを取り戻したいとお考えの方へ。
若々しい口元と、いつまでも自分の歯で食事をとれる喜びを。
10本の点滴より一口の食事
先日、重い病気をされてずっと点滴で栄養を摂っていたという方がいらっしゃいました。
その方は生きる気力もなくなり、寝たきりのような生活だったそうですが、ドクターから、10本の点滴より一口の食事の方がどれだけあなたを元気にさせるかと説得されて、おかゆを一口入れたそうです。
そのときに身体が目を覚ましたような感覚がわきあがり、生きようというエネルギーが沸いてきたとおっしゃっていました。
その経験から、食べることの大切さを身に染みて感じたとおっしゃっていました。
もう点滴で生きていくようなことはこりごりで、歳をとってもしっかりと自分の歯で食べられるようにと当院に来られたのです。
噛むことで認知症の進行をくい止める
噛むということは、食べること以外にも身体に対して様々な働きをしています。
朝起きてねぼけたような状態でも、食事をしているとだんだん意識がはっきりしてくるという経験は誰しもあると思います。
噛むときにあごの筋肉を動かすことで、神経を通して脳に刺激を送るからです。また、噛むときの動きがポンプのような働きとなって、脳にあった古い血液を心臓に送り返し、新しい血液を運ぶという役割もします。
ですから、よく噛むことで脳の血液量が増えて動脈硬化や脳梗塞が起きにくくなるのです。
お年寄りが入れ歯になって自分の歯で噛めなくなると、認知症が進行するということも疫学的にわかってきています。
歳をとればとるほど、歯を失わないことの重要性が増してくるといっても過言ではありません。
中高年ほど必要な矯正治療
8020(はちまるにいまる)運動というものがあります。
8020運動とは、高齢社会において、80歳という長寿に達しても20本以上の自分の歯を残して健康で元気な生活を送りましょう、という運動です。
現在80歳での平均残存歯数は約9本で、20本以上の残存歯を持つ人は約24%(厚生労働省調査)で、まだ不十分と言えます。
1本の歯を失うと、その歯と噛みあっている歯、または隣り合っている歯が支えを失い、抜けたスペースに歯が倒れこんできたりして非常に不安定になります。この状態を放置すると、歯列が崩壊し、最終的には総入れ歯になります。
そういった状況のときに、咬み合わせを回復できるのが矯正治療です。
高齢者が矯正をするメリット
歯列崩壊を防ぎ、咬み合わせを回復できます。
自分の歯で噛むことで、認知症を予防し、健康的な生活を送ることができます。
若々しい口元を取り戻すことで、アンチエイジング効果が期待できます。
矯正治療といえば、一昔前は子どもがするものという認識が一般的でしたが、今や成人、しかも年齢が高い人ほど必要だということは矯正歯科医として切実に感じます。
ここ数年はこうした40代、50代、60代といった中高年の方が増えています。
なかには90歳のお母さまの介護をしながら、その間を縫って治療に来られる69歳の男性の方もいます。
年老いたお母さまのお世話をしながら、食事の大切さ、歯の大切さを実感されたからではないかと思います。
特に女性の方は、歯がだめになることで気落ちされ、一気に老け込んでしまうように感じます。
歯周病だから、歯を失っているからと断念することなく、高齢者の方も諦めずに、是非お気軽にご相談ください。