院長の紹介
篠崎 直樹(歯学博士・日本矯正歯科学会認定医)
平成元年3月 | 東京医科歯科大学歯学部卒業 歯科医師免許取得 |
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平成元年4月 | 東京医科歯科大学大学院博士課程歯学研究科(歯科矯正学第一講座)入学 |
平成5年3月 | 東京医科歯科大学大学院博士課程歯学研究科(歯科矯正学第一講座)修了 博士号(歯学)取得 その後、同医局にて文部教官等を歴任し、患者治療および学生の教育指導に当たる |
平成6年9月 | 日本矯正歯科学会認定医 |
平成12年3月 | 東京医科歯科大学歯学部退職 |
平成12年4月 | 矯正・自由が丘歯科室開設 |
歯科矯正に対する想い
医療と縁のない世界から歯科医師を志す
小さい頃から、本や映画などの影響で、将来は命に携わる仕事に就きたいとは漠然と考えていました。
具体的に歯科医師になろうと決めたのは、中学生の後半か高校生になってからのことだと思います。日曜大工が好きで、自分の部屋の家具を自分で手作りするほど細かい作業が好きだったので、手先の器用さが求められる歯科医師の仕事がいいだろうと、この道を選びました。
親族に医師や歯科医師がいたわけではありませんし、小さい頃に病院に通っていたということもありません。むしろ、医療の世界と縁がない幼少時代を送ったからこそ、この仕事に興味を持つようになったのでしょうね。
生命の神秘に魅力を感じ、矯正専門医に
母校である東京医科歯科大学の講義で、外から力を加えて体を変化させていくのは、全身のあらゆる治療法の中でも歯列矯正治療だけではないかという言葉に驚きを感じました。
人間の持つ自然治癒力を利用して、ダイナミックに歯列を動かすことに、生命の神秘を感じたのが、歯列矯正を専門にした理由のひとつですね。
その後、母校で11年間診療や学生講義を担当し、その後開業医として18年間以上診療を続けていますが、その感動はずっと続いています。
それと、歯列矯正は虫歯や歯周病、顎関節症などを防ぐ予防法でもあります。
悪くなったものを治療で治すというのではなく、悪くならないように、あるいはさらに良い状態になるための予防法として、歯列矯正治療は非常に価値の高いものだと感じたことも理由のひとつです。
矯正は職人技。日々専門性を磨く
矯正治療は、正しい診断からスタートします。
正しい診断とは患者さまが本来お持ちの、正しい骨格の正しい位置に歯が存在しているかどうかを確認することです。
しかし、矯正医の出身大学や、矯正医の経験値によって、この診断が違ってくることがあり、ここが矯正治療の一番難しい点ではないかと思います。
ただ、人の歯列は長い年月をかけて今の形を獲得しており、無駄なものは何もありません。歯も矯正治療を前提として存在しません。歯が並ばない原因をとことん探り、治療にのぞむべきと考えています。
見た目のガタガタがあるから即、抜歯という結論は避けたいものです。
医療は日々進歩しており、矯正治療の世界も同じです。
近年の技術では、摩擦の少ないセルフライゲーションブラケット(商品名:デーモンなど)やインプラント矯正など、治療期間の短縮や非抜歯治療の可能性を拡大してくれるものが多く登場しています。
ただ、新しい技術を崇拝し、治療期間の短縮のみを追い求めると、本来の治療を見失う可能性があります。
学会や論文に目を通し、最新の技術のメリット・デメリットをよく見極め、患者さまにとって必要な技術を過不足なく提供するように心がけています。
平成7年 | 『咬合終末期における咬合力の重心移動の観察』 第54回日本矯正歯科学会大会.札幌(学会発表※) |
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平成7年 | 『不正咬合者における食塊破壊の過程 -動解析の試み-.』 口病誌(論文) |
平成7年 | 『感圧導電ゴムを用いた圧力センサーの改良 -咬合面形態への適合性に対して-.』 顎機能誌(論文※) |
平成8年 | 『咬合衝撃力の伝播吸収 -動荷重と静荷重の違い』 第55回日本矯正歯科学会.福岡(学会発表) |
平成8年 | 『咬合衝撃力に対する歯の微小変動測定法の基礎的検討』 第55回日本矯正歯科学会.福岡(学会発表※) |
平成8年 | 『咬合衝撃力の伝播吸収 -歯根膜の動力学的シミュレーション-.』 第4回顎顔面バイオメカニクス学会(学会発表) |
平成8年 | 『咬合衝撃力の伝播吸収 -歯根膜の動力学的シミュレーション-』 顎顔面バイオメカ(論文) |
平成9年 | 『咬合高径に対応した筋活動様相の観察』 第56回日本矯正歯科学会大会.東京(学会発表※) |
平成9年 | 『感圧導電ゴムを用いた圧力センサーの改良 -咬合面形態への適合性に対して-』 日本顎口腔機能学会(学会発表※) |
平成9年 | 『咬合終末位近傍における咬合力の動的測定』 日本矯正歯科学会雑誌(論文※) |
平成9年 | 『咬合力の動的測定法 -顎変形症患者に適用して-.』 日顎変形誌(論文※) |
平成11年 | 『歯の動態』 歯科技工(論文) |
平成12年 | 『噛みしめ時における咬合力の動的変化を観る』 第19回日本歯科医学会総会(講演※) |
※は筆頭論文および筆頭発表者
なぜ歯を抜かない治療にこだわるのか
歯を傷つけない、失わないためには、なにをおいても予防に力を入れること以外にありません。
予防を徹底することで治療にかかるお金と時間を軽減できることはもとより、入れ歯のお世話にならずに、自分の歯で一生過ごすことができるという非常に大きなメリットが得られます。
歯科における予防治療の最たるものが矯正治療です。
「自分の歯で一生過ごす」ための予防策として矯正治療をするのに、その矯正治療をするために何本もの健康な歯を抜歯しなければならないのだとしたら、それは本末転倒ではないでしょうか。
歯を抜かないことが延命につながる
義父のことで、今思い返してみても悔しい思いがこみ上げてくることがあります。
高齢となり寝たきりになってしまった義父が、かかりつけていた大学病院併設の歯科で知らない間に残っている歯のほとんどを抜かれてしまったのです。
寝たきりとなり、口の中の衛生管理が難しいこと、残っている歯を手間隙かけてケアするよりは、抜歯をして入れ歯をしたほうが管理がしやすい、という理由からでした。
しかし、入れ歯にしたことで噛む力の衰えが助長されてしまい、点滴以外から栄養を摂ることに大変な苦労が伴いました。
この時、高齢者にとって、歯がないということは、こんなに大変なことなのだと痛いほどわかりました。
歯が残っていれば、まだまだ自分の歯で食事をすることができたと思います。
1本1本の歯を守るということは、その人の寿命を延ばすということに繋がっていることを痛切に感じました。
時代がどんなに抜歯に傾こうと私の非抜歯への思いは変わることはないと思います。
私が非抜歯にこだわって矯正治療に当たっているのも、こうした理由からなのです。
時間をかけた丁寧な診療を心がける
日々の診療で心がけていることは、患者さんを中心とし、将来を見据えたトータルな治療を行うことです。
どんな治療でも、まずは患者さんにご納得いただくことが大切ですから、説明は十分に丁寧に時間をかけて行っています。
歯列矯正は月に1回程度メンテナンスのためにご来院いただくのですが、その際にも流れ作業のような治療ではなく、患者さんの話をよく聞き、丁寧な治療を行うようにしています。
もしかしたら、治療の時間が長いとお感じになる方もいらっしゃるかもしれませんが、私は治療にかけた時間と治療効果は比例するものと考え、患者さん一人一人に時間をかけて、よい診療を行うように心がけています。
その結果、1回1回の診療時間は多少余計にかかっても、全体の診療期間が大幅に短縮されることはいうまでもありません。
歯を抜くには必ず理由がある
当クリニックでは歯を抜かない治療方法をさまざまな角度から研究し、模索しています。
ただ、無理やり歯を動かすことによりお顔立ちが変化したり、歯が並ぶアーチが本来の大きさを逸脱する場合には歯を抜いて歯列矯正治療を行う場合もあります。
当院では、最終的に歯を抜くという治療方針になっても、患者さまにご納得いただける理由をご説明します。
歯を抜くには必ず理由があります。
歯を抜くのは最終手段なのです。